vol.11 | カムジャタン(豚背骨肉煮込み鍋)

歴史と暮らしが詰まった遺産、カムジャタン

0 0 2024-10-29

  • カムジャタン(豚背骨肉煮込み鍋)

    カムジャタンは韓国の代表的な伝統料理の一つで、豚の背骨を煮込んだスープにジャガイモと各種野菜を加えて煮込んだ鍋料理である。カムジャタンのカムジャは野菜のカムジャ(ジャガイモ)ではなく、豚の背骨の部位を指す。カムジャタンの起源は、三国時代に豚の飼育で有名だった現在の全羅道(チョンラド)地域に由来し、全国各地に広まった韓国固有の伝統料理である。農作業に欠かせない牛の代わりに豚を捕まえてその骨を煮込んだスープに野菜を加えて作った料理である。カムジャタンは価格も安く、庶民の間で人気があり、特に1899年の京仁線(キョンインソン)鉄道工事の際に仁川(インチョン)に集まった労働者たちにカムジャタンは人気のある栄養食だった。

     

     

    カムジャタンの主な材料は豚の背骨と野菜とジャガイモで、これに唐辛子、味噌、エゴマの粉、ニンニクのみじん切り、生姜などの調味料を使ってスープを作る。豚の背骨は長時間じっくりと煮込むことで肉の柔らかさを最大限に引き出す。そこにジャガイモや白菜、ウゴジ(白菜のクズ葉)などさまざまな野菜を加えて栄養価を高める。カムジャタンのスープは辛くて濃厚で深い味わいが特徴で、寒い冬には体を温める保養食としても食べられる。特に背骨についた肉にはタンパク質、カルシウム、ビタミンなどが豊富に含まれている。カムジャタンを煮込んだ後に残ったスープにうどんやラーメンを入れて食べるカムジャタンラーメン、スープにとろみをつけてご飯に混ぜて食べるカムジャタンチャーハンも人気だ。カムジャタンは、辛く濃厚な味わいを誇る韓国の鍋料理であり、歴史と庶民の暮らしを伝える貴重な文化遺産である。